木材流通における転換促進支援事業
令和5年度実施報告

一般社団法人 福岡県木材組合連合会

1.実施概要

実施団体の説明

 福岡県内18の地域の木材(協同)組合、福岡県木材市場連盟、福岡県木材青壮年連合会の合わせて20の木材関連団体を会員とする一般社団法人。
 主な業務として、木材需要拡大に向けた普及啓発、木材業者登録、福岡県産木材の利用推進と供給体制の確保を目指した認証事業体の認定、違法伐採に対する取組として合法木材供給に関する事業体の認定、JAS制度の普及及び運用、木材製造業・流通業等組合員への情報提供などの支援を行っている。

事業の目的

 平成31年に県内の木材産業関係事業者を紹介した「福岡の木利用ガイドブック」を作成したが、発行後これまでに、建築士や建設関係事業者から「木材調達の実用に供する情報を盛り込めないか。」との要望が寄せられた。
 このため、福岡都市圏での住宅・非住宅分野での建築用木材等の地域材への転換を進めることを目的として既刊のガイドブックの掲載内容を改訂することにした。
 改訂に当たっては製品についての記載内容を拡充し、さらには、木材の乾燥や強度等技術的記事を追加して、地域材の利用推進による木質木造化に直結するガイドブックとして、広く配布するとともに、川上の原木供給者から川中の木材流通事業者を含む木材産業関係者、川下の設計・工務店等関係者に対し、これを用いた説明及び講習を行った。
 現在、当会ホームページに掲載し、さらなる周知を図っているところである。

事業内容・結果

① 協議会打合せ会議(ガイドブック編集会議)の開催
開催日: 令和5年9月26日
開催場所: 福岡市中央区天神チクモクビル
開催内容: 川上(森林組合関係)、川中(当会会員組合に所属する事業者(木材加工業、木材流通業)、プレカット工場)、川下(地域材を活用している工務店等)及び行政で構成する協議会を開催し、ガイドブックの編集方針、編集項目などについて協議を行う。
○協議会で出された主な意見
・現在のガイドブックは、情報が分散している印象
・事業者一覧は、メールアドレスやホームページがあれば、紹介すべき。
・取り扱い製品について、建設業者から見ると具体的な具材がなく、分かりづらい。
 地元の工務店や製材者同士なら分かっても地域外の工務店や設計士には整理が必要
・ガイドブックのターゲットはどこにするのか。
 ⇒本来、木材の流通を地域材に転換しようとする趣旨の事業であるが、最終的には工務店や施主がターゲット
・木材を使う側からすると、事業者別に表示するよりも、規格別に整理する必要があるのでは。?
・施主に対して木の魅力を伝える必要があるが、事業者紹介と合わせて掲載すると、使い勝手が良くない。
 ⇒WEB情報とガイドブックの情報とを分けて整理することにしてはどうか。
・JAS制度に関しては、目視・機械等級別、甲種、乙種、乾燥など表示すべき項目はたくさんある。
協議会の開催状況

② ガイドブック掲載情報調査・収集
ガイドブックにおいて事業者紹介を行うために必要な情報の収集を行った。
・収集した情報
 福岡県木連傘下の木材関連事業者を中心に取扱品目の調査を行った。
 取扱品目について、下記の区分で取りまとめ、併せて主な取り扱いサイズを調査した。
  構造材・・・柱、梁、桁、土台など
  小屋組・・・母屋、棟木、垂木など
  小割材・・・筋交い、間柱、野縁、根太など

③ ガイドブック発行、デジタル化、ホームページ掲載
上記②の調査事項に加え、下記事項の情報を取りまとめ、印刷製本を行うとともに、デジタル化を行い、PDF形式で当会ホームページに掲載。URLは、次の通り。
Fukuoka_Woods_Guidebook_2024s.pdf (fukuoka-kenmokuren.com)

データについては、地域、業種区分(建築用材(製材全般)、市場関係、家具建具等)、合法木材・県産材・JAS材対応の有無等に基づきホームページ上で検索可能となるようにした。また、事業者毎に対応できる主なサイズ別一覧表の表示を可能とした。
事業者紹介 – 一般社団法人福岡県木材組合連合会|福岡県木材協同組合連合会 (fukuoka-kenmokuren.com)

○ その他の調査掲載事項
  • 福岡県建築賞受賞物件(木材の特長を活かし建築物の木質・木造化に波及効果があるもの、国産材を積極的に利用し、林業振興に寄与しているもの)を紹介
  • 川上(森林組合関係)、川下(工務店、建設業関係団体)における地域材利用推進の取組事例
  • 木材の加工技術に関する事項
     強度、乾燥、木取り
  • 製材JAS制度
  • 改正建築基準法

ガイドブック(改訂版)


④ ガイドブック説明会の開催
開催日: 令和6年1月26日14:00~16:00
開催場所: 福岡市中央区天神3丁目10-27 天神チクモクビル
参加人数: 45名(申込52名)
開催内容: ○ガイドブック(改訂版)掲載内容に関する講習
  木材の乾燥に関する解説、JAS制度の紹介、改正建築基準法の概要
○データ化した事業者情報に関するホームページ上での操作の説明
  地域別、業種別、合法証明、県産材証明の有無等検索機能の説明
  具体的な品目別サイズの閲覧方法等の説明
 
主な質疑: 建築士からの意見
・事業者一覧に関して、建築士から、主な寸法から逆に事業者を検索できるようなシステムであれば、使う側にとって非常に便利との意見
・情報の定期的な更新を是非ともお願いしたい。
 
参加者の主な意見(アンケート結果)
  ・参加者の関心事項は、JAS制度、木材乾燥
・講習会開催時期の検討(年度末は避けて欲しい。)
・各所から木材に関する見学会、講習会などの種々連絡があるので、総合的な案内が欲しい。
・提供して欲しい情報
  事業者情報として、在庫量、納期に関する情報
  県産材利用に対する補助制度に関する情報
  含水率の考え方に関する情報
  改正建築基準法に関する踏み込んだ情報
  プレカット工場とJAS工場との連携
  JAS製材品の表示の一覧解説
 
 

開催案内チラシ

開催状況

説明会の動画は、下記URL
木のガイドブック・ウェブセミナー – 一般社団法人福岡県木材組合連合会|福岡県木材協同組合連合会 (fukuoka-kenmokuren.com)

 

2.得られた効果

 今回ガイドブックのメインとなる木材関連事業者の情報については、5年ぶりに調査を行ったことで、最新の情報の収集・発信ができた。また、各事業者が対応可能な製品に関する情報を追加して調査し、取扱品目別の標準的なサイズ等、より具体的な情報を発信することができた。
 情報発信の方法として、冊子としての発行配布に加え、ホームページにPDF形式で掲載するとともに、データ化して検索機能を持たせて情報を活用するなど多様な媒体を用いて実用に資する情報の発信ができるようになった。
 さらには、今般の改正建築基準法の概要等タイムリーな情報、JAS制度の解説、木材の加工に関する技術等木材流通事業者にとっても必要な情報も発信することができ、地域材の利用推進に寄与するものと考えられる。

3.今後の課題と次年度以降の計画

 製品の品目別主なサイズ等、今回収集した情報については、木材流通関係者で共有するのみならず川下側の建築士や工務店に対しても提供が求められる中で、今回収集できた情報量に限りがあったため、定期的に調査を行いデータの蓄積・更新を行うことが必要と考える。
 また、木材製品を使用する立場である川下側に有用となる形で情報提供を行うために、標準サイズから対応できる事業者を検索できるようにするなど表示方法を工夫する必要もあるかと考えられる。
 今後は、福岡県木連自身から情報発信するのみならず、本会が所属する福岡県木材利用推進協議会(県森連、県木連、県建築士会の3者連携による組織)においても、今回の取組を紹介して組織内の活動に活用するなど、製品調達に資する実用の資料として広く情報発信に努め、より一層の地域材の利用推進につなげていきたい。
 
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